お役立ちコラム
車両総重量と最大積載量とは?それぞれの定義から知っておきたい制度までを解説!
2023年09月08日
荷物を運搬するにあたって、確認すべきことの1つに最大積載量があります。
しかし、最大積載量とよく似た言葉に車両総重量があり、違いを詳しく知らないという方も少なくないでしょう。
また、車両総重量や最大積載量の違いやこれらにまつわる制度を知ることで、よりスムーズに業務を進められるケースもあります。
そこで今回は、車両総重量と最大積載量の定義から違いを確認し、これらにまつわる知っておきたい制度を紹介します。
車両総重量と最大積載量はどのような定義を持つ?
車両総重量と最大積載量は、道路法や道路運送車両法で定められている車両に関する値です。
また、自動車検査証(車検証)をよく見ると車両総重量と最大積載量が記載されていることがわかります。
そこで本項では、車両総重量と最大積載量の定義や計算方法を交えながら、それぞれの違いを紹介します。
車両総重量とは?
車両総重量は、道路運送車両法によると以下のように定義されています。
・車両総重量=車両重量+最大積載量+乗車定員の重量
(乗車定員の体重は55kgとして計算)
また、道路法により車両総重量の制限値が定められており、高速道路や重さ指定のある道路では25トンまで、その他の一般道は20トンまでとされています。
さらに、海上用コンテナや大型発電機、重機などを運ぶセミトレーラが必要なケースでは、後述する特殊車両通行制度の利用が必要です。
最大積載量とは?
最大積載量は、車両総重量の一部であり、以下のように車両総重量からの逆算で求めることができます。
・最大積載量=車両総重量-車両重量-乗車定員の重量
このように、最大積載量は車両総重量に基づいて、車両に乗せられる荷物そのものの重量を指しています。
なお、上記における最大積載量・車両重量・車両総重量および定員人数は、自動車検査証(車検証)で確認することが可能です。
増トンと減トンってなに?
増トンと減トンは、車両の最大積載量を変更することを指します。
増トンを行なうと、車両に積める荷物の量が多くなるので、一度にたくさんの荷物を運ぶことが可能です。
しかしながら、増トンを行なうと車両重量も増えるので、ドライバーの運転できる区分が変わったり、特殊車両通行制度の利用が必要になったりするケースがあります。
一方、減トンを行なうと、車両に積める荷物の量が少なくなりますが、自動車税が安くなるケースがあります。
また、増トンや減トンを行なう際は、最大積載量の変化により車両や道路に悪影響を与えないかを検査する「構造変更検査」が必要です。
車両総重量にまつわる知っておきたい制度
前項では、車両総重量や最大積載量の違いや増トンと減トンの概要を紹介しました。
また、上記の中で構造変更検査などの制度の名称が登場しました。
そこで本項では、車両総重量にまつわる知っておきたい制度として、以下の2つをご紹介します。
1.構造変更検査
2.特殊車両通行制度
では、順番に見ていきましょう。
構造変更検査
構造変更検査とは、以下の項目などを改造した場合、車検とは別に所定の運輸支局による検査を受けなくてはならない制度です。
・車両の長さ・幅・高さ
・乗車定員
・最大積載量
・車体の形状
・エンジンなど原動機の形式
・燃料の種類
・使用用途
また、下の表のような軽微な変更とされるケースは、構造変更検査の手続きが不要となっています。
軽微な変更とされるケース
車種 | 長さ | 幅 | 高さ | 車両重量 |
小型自動車・軽自動車 | ±3cm以内 | ±2cm以内 | ±4cm以内 | ±50kg以内 |
普通自動車・大型特殊自動車 | ±3cm以内 | ±2cm以内 | ±4cm以内 | ±100kg以内 |
その他にも、タイヤやホイールなどの機能的な部品やオーディオやカーナビなどのアクセサリー部品のように、溶接やリベット以外で取り付け可能な変更も軽微な変更に含まれます。
特殊車両通行制度
特殊車両通行制度には、「特殊車両通行許可制度」と「特殊車両通行確認制度」があります。
「特殊車両通行許可制度」は、車両の使用者が道路管理者に車両諸元や通行したい経路を申請し、許可を受ける制度です。
一方、「特殊車両通行確認制度」は令和2年に道路法などの一部改正により生まれた制度で、車両諸元などを事前に登録すると、オンラインシステムを用いた経路検索が可能となります。
以下の表は、「特殊車両通行許可制度」と「特殊車両通行許可制度」の違いをまとめた表です。
2つの特殊車両通行制度ついて
特殊車両通行許可制度 | 特殊車両通行許可制度 | |
審査時間 | 申請から許可まで約30日 | 即時に確認が可能 |
申請手続 |
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許可経路 | 1経路(片方向)ごとに許可 | 複数経路(双方向)を一度で確認 |
許可範囲 | すべての道路と車両に対応 |
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このように上記2つの制度では、許可範囲の広さと手続きに掛かる時間に違いがあるとわかります。
車両総重量と最大積載量とは?それぞれの定義から知っておきたい制度までを解説!まとめ
今回は、車両総重量と最大積載量の違いから、これらにまつわる知っておきたい制度までを紹介しました。
車両総重量は、最大積載量を含めた重量であることや、道路法などの法律とのつながりがわかりましたね。
本記事を参考に、最大積載量を確認の上、必要に応じて構造変更検査を受けていただければ幸いです。